ダボス会議

世界経済フォーラムダボス会議)が27日に開幕。5日間、約90カ国から集まった政官財のリーダー2500人以上が参加しているとのことです。近年、ダボス会議で存在感が顕著に強まったのがソーシャルアントレプレナー社会起業家で、今年もムハマド・ユヌス氏はじめその分野のリーダーたちが大勢参加している模様。

2008年のダボス会議で参加者全員に配られた本があり、それがThe Power of Unreasonable People: How Social Entrepreneurs Create Markets、邦題『クレイジーパワー 社会起業家――新たな市場を切り拓く人々』(英治出版、2008年刊)です。ヴォランズ・ベンチャーズのジョン・エルキントンとパメラ・ハーティガンの共著。

クレイジーパワー 社会起業家―新たな市場を切り拓く人々

原題のUnreasonableの趣旨は冒頭のジョージ・バーナード・ショーの言葉に由来します。


常識のある人は、自分を世間に合わせようとする。
非常識な人は、世間を自分に合わせようとする。
ゆえに非常識な人がいなければ、この世に進歩はあり得ない。
これまで政府も市場も十分に応えられていなかった、さまざまな社会問題の解決というニーズに対して斬新なビジネスモデルで応えて活躍している社会起業家。本書は、世界的に高まるこの潮流を仔細に分析し、彼らが新たに生み出したビジネスモデルと市場、資金調達やリーダーシップのあり方などを幅広く論じています。

大きな成果をあげている社会起業家の特徴や、経済格差、食糧問題、資源問題、教育格差など世界の10大格差に潜む市場機会を解説。インドで低価格の医療品を提供するオーロラボ、『世界を変えるデザイン』(英治出版)でも紹介された足踏みポンプ「マネーメーカー」を開発してケニア等の経済に大きな影響を与えているキックスタート、創業者の著書『マイクロソフトでは出会えなかった天職』(ランダムハウス講談社)で有名なルーム・トゥ・リードなど、数多くの社会起業家社会的企業に取材し、示唆に富む研究成果をまとめています。

本書が世界経済フォーラムで配布された背景には、会議において世界中から集まる大勢の起業家たちが、各々の手法や技術の交流を図っている(とダボス会議とシュワブ財団の創設者クラウス・シュワブが序文で述べている)からかもしれません。地理的な枠を超えたソーシャル・イノベーションの輸出・輸入が行われている。ティーチ・フォー・アメリカのモデルがイギリス、ドイツ、オーストラリア、等々にも広がっているように、各国が抱える問題の共通性に目を向け解決策を移転していく試みは、今後ますます増えていくでしょう。

本書はそのようないわば問題解決策の市場をそのまま本にしたような内容であり、社会問題の解決を志す、それに自分なりの何らかの貢献をしたいと願う方々にとって、多くのヒントが詰まっているのではないかと思います。というわけで自社本の宣伝ですが、、既刊書のことも忘れず宣伝していきたいと思いますのでこの機に書いてみました。