JIフォーラム

1月31日。夕方からJIフォーラムに参加してきました。JIフォーラムとは民間シンクタンク構想日本が主催している月一のフォーラムです。さまざまな社会問題や政策的論点をゲストを呼んで論じるもので、今回のテーマは社会起業。

ゲスト:
木山啓子(NPO法人ジェン(JEN) 理事・事務局長) 
鈴木 誠(株式会社ナチュラルアート 代表取締役
渡邉英夫(NPO法人どんまい福祉工房 理事長)
コーディネーター:左京泰明 (NPO法人シブヤ大学 学長)

ナチュラルアートとシブヤ大学は前から興味を持っていたところ。JENは国際協力の団体で災害復興支援などの活動を世界各地で行なわれています。どんまい福祉工房は障害者の就職を支援する団体。それぞれいろんな困難を乗り越え社会のために頑張っている。頭が下がります。

個人的には、ナチュラルアートの鈴木さんの話が(経営絡みの話が多かったため)特におもしろかったです。ナチュラルアートは農業ベンチャー。いわゆる社会起業なのかどうかは分かりませんが、国と既存の農家、農協などの無為無策によって衰退の一途をたどっている日本の農業には、実はまだまだ可能性がある、ということを実証してくれている良い例です。

どんな農産物をつくるか、という点ひとつとっても、従来の農家は「うちはもともとコメを作ってきたんだ」というような執着、そして単品集中型のところが多いようなのですが、ナチュラルアートはポートフォリオの考え方でさまざまな農産物を適正な比率で生産して経営を安定させています。流通構造に関する認識も興味深いものでした。

ちょうど届いたハンガー・フリー・メールマガジンNPO法人ハンガー・フリー・ワールドが出しているメルマガ)によれば、日本の「農業人口は1960年の1175万人から2007年の202万人へと8割以上も減少」し、1950〜2000年の間に都市人口の割合が34.9%から64.6%へと変化した(50年で農村人口と都市人口が逆転)のだそうです。そして現在の食糧自給率は39%。

食品の安全性への懸念が高まっている昨今、国内の農業を立て直していくことは国としても注力すべきことでしょうし、ナチュラルアートの成長が示すように、ここにはビジネスチャンスも生まれている。「農で起業する」という例もしばしば聞くようになりました。ちなみにイギリスでは1970〜2000年の間に食糧自給率が40%台から70%くらいまで回復したという。いろいろ条件の違いもあるのでしょうが、休耕地や跡継ぎ不足の農家が多い日本、回復の余地は十分あるはず。

最近はフードマイレージ(食品の輸送距離のこと。これと輸送手段によってCO2輩出量を算出できる)の考え方も広まってきていて、もとより原油価格は今後大きく下がるとは考えられない、そのためいろんな意味で「国産」農産物の意義は高まるようにも思います。逆に、グローバル市場への輸出産業としての農業にも可能性はあるでしょうし。

既存の考えにとらわれずにしっかり考えて手を打てば、衰退産業と言われる農業にもまだ大きな可能性があるのだ、ということ。がんばれ日本の農業。これは出版業界についても言えることかもしれません、というか、そう考えていきたいと思います。