New York Times Best Sellers

海外の出版情報のうち、特に注目されている一つがNew York Times紙に毎週掲載されるベストセラーランキング&書評欄。これに載ると売行きがぐっと伸びるという。なじみのピアソンやマグローヒルの担当者は自社の本が載るたびに得意げにメールを送ってくる。とはいえ、それを日本で出せば必ず売れるというわけではもちろんないので、そうかそうかとつぶやく程度で流すことが多い。が、先週のランキングは別の意味で気になる。以下、ノンフィクション部門のベスト10。

1. CULTURE OF CORRUPTION, by Michelle Malkin (Regnery)
2. IN THE PRESIDENT'S SECRET SERVICE, by Ronald Kessler (Crown)
3. OUTLIERS, by Malcolm Gladwell (Little, Brown)
4. BORN TO RUN, by Christopher McDougall (Knopf)
5. LIBERTY AND TYRANNY, by Mark R. Levin (Threshold Editions)
6. ZEITOUN, by Dave Eggers (McSweeney's)
7. CATASTROPHE, by Dick Morris and Eileen McGann (Harper/HarperCollins)
8. A BOLD FRESH PIECE OF HUMANITY, by Bill O'Reilly (Broadway)
9. THE WILDERNESS WARRIOR, by Douglas Brinkley (Harper/HarperCollins)
10. OUR LADY OF GUADALUPE, by Carl A. Anderson and Eduardo Chavez (Doubleday)

このうち第3位のOutliersはあのマルコム・グラッドウェルの本で、日本では勝間和代氏の訳で出ている(『天才!』)ので見かけたことのある人も多いだろう。注目はそれではなく、1位のCulture of Corruption、5位のLiberty and Tyranny、7位のCatastrophe。これらすべてアメリカ保守層によるオバマ政権批判の書だ。中身を読んではいないので確たることは言えないが、オバマの政策をソーシャリズム的として批判している模様。

オバマ政権の支持率については以前このブログでも書いた。アフガン問題や健保改革に関して批判が高まり、支持率はついに50%を割ってしまったという。前政権の負の遺産を受け継いだアフガンについてはともかく、健保改革はオバマの積極的な目玉政策であり、就任時に国民が彼を熱狂的に支持したことを思うと、いま賛否両論が拮抗して紛糾しているのはちょっと不思議な気もする。パブリックオプションのようなものを望んだからこそオバマを支持したのだと思っていたが違ったのか。世論とはそういうものかもしれないが。

これまでの流れもあるだろう。オバマ政権は発足直後に巨大企業を救済、経済対策も財政頼み、と少々後ろめたい感じの「政治主導」が続いた。ここ8カ月でアメリカ保守層の舌鋒が勢いを増してきているのは、反動もあって無理もない。今は財政で支えるべきだと思うが、保守層にとっては格好の突き所なんだろう。救済策を講じているが景気の先行きは暗い。失業率も過去最高となったそうで、オバマ大統領、なかなか苦しい状態が続く。

妙に期待値が高かっただけに反動も生じやすい。とはいえまだ多くの人がオバマを信じているのだろうけど。私はオバマをあまり信用していないし、このぐらいの揺り戻しはむしろ健全とも言えそうだが、ともかく良い変化になることを願うのは米国政府に対しても日本政府に対しても同じ。これと同じようなことが鳩山政権に関して起こる可能性は高いだろう。どちらも先行きが気になる。