Teach For All

Teach For Americaによる教育改革についてはこのブログでも何度か書いているが、そのTFAのCEOウェンディ・コップを中心に、2007年12月にTFAの他地域展開を目的とする「Teach For All」が発足し、諸外国におけるTFAモデルの事業展開の支援が進んでいる。これまでにイギリス、インド、ラトビアエストニアリトアニアで同様の事業が立ち上がっており、南アフリカイスラエル、ドイツでも立ち上げが進められている。

Teach For Allの広範な活動は、クリントン・グローバル・イニシアティブ、マイケル&スーザン・デル財団、エイミー&ラリー・ロビンズ財団などからの財源で支えられている。3年間で2,500万ドル。ちなみにビル・クリントンは大統領在任中に若手リーダーとの懇談会でウェンディに会ってTFAを絶賛、ビルもヒラリーもTFAを支援している。

企業としてこれに絡んでいるのがMcKinsey & Companyだ。Teach For All発足以前の2002年から活動しているイギリスのTeach Firstは、マッキンゼーの提言によってTFAを模範として始まったもの。これまでに1000人以上の教員を配置、サイトや映像を見るかぎりTFA同様に大きな成果を上げているようだ。ちなみにリクルーティングビデオがかっこいいので紹介しておこう。

2008 Teach First Recruitment Video

インドでは2007年にTeach For Indiaが立ち上がった。インドで教育改革をめざして活動していた人々がウェンディ・コップに出会ったのがきっかけだという。そのサイトには"teaching is leadership"と記されている。優れた教師は優れたリーダーである、というのはウェンディがしばしば語っていることだ。TFAでの教職を経た若者たちは、先日紹介したミシェル・リーを筆頭に、社会のさまざまな領域でリーダーシップを発揮している。教育現場を改善するとともに、次世代リーダーを育成する。ここにTFAの"Theory of Change(変革理論)"がある。

イギリスでもインドでも、本家のTFAと同様のTheory of Changeが掲げられ、教育機会格差という社会的不公正をなくすために若者たちが熱心に活動している。Teach For Allの今後が楽しみだが、それはともかく、日本でも事あるごとに教育が問題視される今日、TFAやミシェル・リーが推進しているような本質的な解決策が必要ではないかと思えてならない。