ダイアログBar

今日の夜は渋谷で行われたダイアログBarに参加してきました。経営者、組織開発のコンサルタント、コーチ、人事関係の人、学生、などなど多彩な顔ぶれが集まって、ゲストスピーカーの話を受けてワールドカフェ・ダイアログをするというもので、今回が第2回。ワールドカフェは昨年秋にピーター・センゲ氏の来日講演のときに行って以来なので楽しみにしていました。

ゲストスピーカーはダイローグアーツ代表の渋谷聡子さんで、ダイアログを用いた組織開発に取り組んでいる人。コーチングの話から企業や自治体などでの組織開発プロジェクトの話、最近の研究テーマの話など、非常に示唆深いお話でした。ダイアローグが志向するものが「全体性の再生」であるというのは「なるほど感」のある指摘で、そこから神道の話にまでつながっていくあたりがすごくおもしろかった。畏れ多くも、考えていることがとても近いと感じました。

ピーター・センゲは仏教を手がかりにして主客の対立を超えたものを志向するわけですが、日本には神道というものがある。神道あるいは、私などは沖縄に行ったとき訪れた斎場御嶽を思い出すのですが、自然崇拝的な信仰には、システムシンキングや"Theory U" に通じるものが確かにある。

ワールドカフェは「自ずから」がテーマ。「自ら」ではなく「自ずから(おのずから)」。これが持つ意味についてダイアログするという、何も知らない人が傍目に見れば怪しい団体かと思われるかもしれませんが、このようなコンセプトについて語り合うというのは割と好きです。編集の仕事にも通じるし(というか編集の仕事はこれが核のようにも思う)、思想は大学時代の専攻だった。

私なりの見方では、「自ずから」は、周囲の状況や出来事をどう捉えるかの問題で、それを「自ずから」と捉えられるかどうかでその後の帰趨が随分異なってくるのではないか、と考えています。まわりで動いていく不確実性に満ちた状況を、「合わせるもの」「合わせなければ」「流される」と捉えるのか、「自ずから」のものとして捉えるのか。後者であれば状況を自分の味方や力につなげていけるのではないか、と。あるいは、周囲の状況の中に「自ずから」を見出せるかどうかが重要だとも言えます。そんなことを話しました。シンクロニシティにつながる話かもしれない。出現する未来にも。Uにも。きっとその辺なんだろう。

自分の転職の話もしました。日銀は良い会社でしたし周囲に反対する人もいましたが辞めるときに何の迷いもなかった。今の会社を「自ら」っぽく転職サイトで探したわけでもない。決めるときには今の会社に入ることは自然な流れのように思えていたし、だからこそ今の仕事や立場は自然に好循環を生んでいるのだと感じています。

個人的には最近いっそう関心を深めているソーシャルイノベーションの話、特に以前書いたGetting to Maybe の自己組織化的なソーシャルチェンジのプロセスは、思索的に捉えていけば必ずシンクロニシティやTheory U につながる話だという思いがあります。弊社のいわゆるビジネス書・経営戦略ものとは異なるラインナップとしてソーシャル系とダイアログ系がありますが、この2つが並び立っているのは実は自然なことなのだ、と思っています。ラインナップを評価されるととてもうれしい。

会場で出会った何人かの人から応援されました。見てないはずですがありがとうございます。今後も頑張ります。