Teach For America

金曜日、プラカデミア・サロンFor Social Innovation という、国際大学GLOCOMで開催されている勉強会に参加してきました。フローレンスの駒崎さんにご案内いただいたもの。アメリカのNonProfitとして絶大な知名度と影響力をもつTeach For America (TFA)とワールドビジョン・ジャパンの事例を扱いました。勉強になりました。感謝。

Teach For America には以前から興味津々で、創業者ウェンディ・コップの著書の邦訳版発行も予定しています。簡単にいえば、全米トップレベルの大学の卒業生を2年間、アメリカ各地の貧困地域の公立小中学校に送り込んで教育活動に従事させる、というプログラムを展開しています。1989年創業、今では全米29地域で6000人ほどの先生が教えています。2007年ビジネスウィーク誌では、大学生の理想の就職先ランキングの第10位にランクイン、と、NPOながら知名度は絶大。今年は25,000人ほどの大学卒業生がTFA教師を志望し、3700人が採用されたとのこと。

ウィキペディアの日本版にも情報が載っています

アメリカでは貧富の格差が大きく、それがそのまま地域の教育の質的格差、機会格差につながっています。公立学校の財源が地域の固定資産税に依っているためそうなるらしい。そういう地域では、抜群に賢いTFAの教員たちを熱烈に歓迎しているようで、ネットでいろいろ探しているとそんな情報がいっぱい出てきます。学業成績向上などの効果もはっきり認められているし、各地でTFA教師たちが実践している教え方のベストプラクティスを共有する仕組みも設けている。

TFAのイノベーティブなところは、全米トップレベルの人材を、最底辺の地域の子供たちの教育に携わらせることで、(1)貧困層児童の学力向上・教育機会格差の是正と、(2)貧困対策や社会改革の意識を持つニューリーダー人材の育成、の両面にインパクトを与えていることだと思います。特に(2)については、TFAで2年間の教育体験をした人材が、連邦政府議会や行政機関、お有力な企業、NPOや教育ベンチャーのリーダーなどになっていくため、長期的に社会全体に及ぼす影響が期待されています。このTheory of Change、すばらしいです。

ちなみに私が理事をしているNPO法人MPIでは、コンサルティングファームや金融機関、総合商社やベンチャー企業などビジネス界のハイキャリアな人材が東京・京都・福岡の大学生たちの能力向上のために活動しています。戦略的思考やプロジェクトマネジメント、リーダーシップ、などの研修を行うなどして毎年、すぐれた人材を輩出しています。TFAなどと比べると遠く及ばない小さな組織ですが、いわゆる縦のつながりが希薄化している現代、それをうまくつないで教育・人材育成に貢献していける余地は多々あるのではないかと感じているところです。

勉強会ではワールドビジョン・ジャパンの活動についても話を聞きました。ワールドビジョンは国際開発NGOとしては日本で最も著名なものの一つで、洞爺湖サミットでも活躍されていました。ワールドビジョンの「チャイルド・スポンサーシップ」、途上国の子供を支援する寄付の仕組みですが、これは単に一人の子供の養育を支援するだけでなくその地域全体の開発に活かされる仕組みとなっています。うちの会社ではこれとよく似たプラン・ジャパンの「フォスタープラン」に寄付をしていてアフリカの少女を支援しています、プランジャパンもワールドビジョンも、すばらしいです。